ラムザ達は一旦宿屋に戻った。
ラムザが寝ようとした時、コンコンとドアを叩く音がした。
「ラムザ、私だ、アグリアスだ」
ラムザがドアを開けるとアグリアスが一人立っていた。
シャワーでも浴びできたのであろう、石鹸の良い香りがした。
「夜分遅くにすまない、少し良いか?」
「もちろんだ、どうぞ。」
二人とも椅子に座ると少しの間、無言だった。
アグリアスが口を開くと
「ラムザが無事で本当に良かった。」
「僕も同じ気持ちだよ。」
「あの爆発の中、気が付くと牢屋に閉じ込められていた。みんな死んだかと思った。」
「僕も一人で不安だった。仲間にまた会えて嬉しかった。」
「イヴァリースの世界へ戻れるのだろうか?」
「わからない、けど戻らなくちゃいけないんだ。イヴァリースの世界を見届けなくては。」
「ラムザ、お前は私の希望だ。私を導いてくれ。」
「ああ、必ずイヴァリースの世界へ戻ろう。」
再び二人の間に沈黙が流れた。
「すまない、時間を取らせたな。」
「アグリアスと話せて良かった。」
アグリアスは手を差し伸べた。
ラムザはそれに応え、お互いに握手をする。
「一緒にこの世界から抜け出すんだ。」
ラムザがそう言うと、アグリアスはコクリと頷いた。
彼女はドアの前で一度振り返り、静かに部屋を出て行った。
ラムザの手には彼女の温もりが残っていた。